「たばこは1日80本。お酒は浴びるほど飲んだ」(50歳代男性)、「たばこは吸わないが、お酒は好きで休みの日は朝から飲んだ」(60歳代男性)......。
のどの喉頭、中、下咽頭がんや、舌がんなど口の中のがんは、50歳以上の男性に多く、大量の喫煙や飲酒の習慣との関連が指摘されている。喉頭がんの場合、喫煙者の死亡率は吸わない人の32・5倍も高いというデータがある。
のどや口のがんの専門医で作る日本頭頸部癌学会は2006年、「禁煙、節酒宣言」を発表した。参加する医師自らがたばこ、酒を控え、周囲にも呼びかけを行っている。
学会の理事長で東京医科歯科大頭頸部外科教授の岸本誠司さんは、「たばこは絶対ダメ」と断言する。お酒はほぼ毎日飲む人の場合、ビールで1日に中びん1本、日本酒なら1合程度までに抑えるよう勧める。
ただし、お酒に弱い人は、アルコールが分解される時にできるアセトアルデヒドという有害な物質がたまりやすく、少量のお酒でもがんになりやすい。「お酒に弱い人が無理に飲むのは危険」なのだという。
この連載ではがん発見に役立つ症状を紹介してきたが、のどのがんでは早期にまったく症状が出ないこともある。がんになった時、次に起きるのが首のリンパ節への転移ということを理解しておきたい。
首にこりこりとした小豆の粒のようなしこりができ、何週間もかけて徐々に大きくなる。首のリンパ節は風邪をひいても腫れるが、1~2週間で引き、痛みがある。一方、がんの転移に痛みはない。
「のどの病巣がごく小さくても首に転移することがある。大人で首のぐりぐりが消えないようなら耳鼻咽喉科か頭頸部外科などを受診してほしい」と岸本さん。
このほか、上あごの「上顎洞」という部分にできるがんでは、片方の鼻だけがつまる、鼻血が出る、上あごや歯茎が腫れる、ほおがしびれる、目が腫れる、ものが二重に見えるなどの症状が出ることがある。
のどや口、上あごなどのがんを総称して「頭頸部がん」と呼ぶ。頻度は少ないが、治療がうまくいっても、話す、飲み込む、食べるなどの重要な機能や、外見が損なわれることがある。
進行してから受診する人が大半を占めるが、早く見つけるほど、後遺症も少ない。「たばこは吸わない。大酒は飲まない。そして、異変を感じたらすぐ受診する。早期発見でその後の生活は大きく変わります」と岸本さんは話している。
(館林牧子)
(来週は「見えないハンデ 内部障害」です)
〈のどや口のがんの診療窓口〉
主に耳鼻咽喉科が担当するが、頭頸部外科、頭頸科など専門の診療科を掲げる病院もある。口の中のがんは歯科口腔(こうくう)外科で行うこともある。来月4日発売予定の雑誌「病院の実力。2008春」で、全国の主な医療機関の治療件数も紹介している。

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