がんの患者さんの治療過程には、栄養状態を悪くする要因がいくつも含まれています。化学療法を受けている時には、抗がん剤による吐き気、嘔吐(おうと)や食欲不振、下痢などで食べられなくなる方がおられます。
放射線療法では放射線照射を受けた場所で副作用が生じて食事がとれなくなる方もおられます。手術はうまくいったのに、手術の後遺症でうまく食べることができない方や手術後に食が進まない方もおられます。このほかにも、痛みなどのために食べられなかったり、病気に対する不安のために食べることに大きな影響が出ることを訴えられる患者さんもおられます。このように、がんの治療中はさまざまな原因で食べられなくなって、全身の栄養状態の低下が起こりやすくなっています。栄養状態が低下すると、治療の効果が十分に望めないこともあります。
一方で、症状に応じた食事対応を行い、低栄養に陥らないようにすると、体力がつき、免疫力も高まり、病気の進行を遅らせることも期待できます。
最近では、臨床栄養学の進歩により、摂取する栄養素の量や質が免疫力と密接な関係を持つことが明らかにされてきています。たんぱく質、炭水化物、脂質などの3大栄養素だけでなく、各種ビタミンやミネラルなどの微量栄養素なども免疫機構の保持に重要な役割を果たすことが知られるようになってきました。がん治療の支援となる栄養管理が必要とされる理由です。患者さん個々の状態に応じた食事の対応がのぞまれます。(大阪府立成人病センター栄養管理室栄養総括主査・管理栄養士・病態栄養専門師、福田也寸子)

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