神奈川県は禁煙条例の骨子案を発表した。たばこは喫煙者だけではなく、吸わない周囲の人の健康も害する。骨子案は不特定多数の人が利用する施設でこの受動喫煙を防ぐのが目的だ。制定されれば、全国初の「受動喫煙防止条例」となる。
路上禁煙は広がってきたが、これだけでは受動喫煙の被害は防げない。全国の自治体でも取り組むべき課題である。今後、骨子案を議会に示すとともに公募中の県民の意見も参考に条例案を作成し、年度内成立を目指している。
当初は施設内の全面禁煙を基本方針にしていた。県医師会などは支持したが、一部の業界から「売り上げに影響する」と強い反発の声が上がり、骨子案では例外を認めた。このため「骨抜きだ」との批判も出ている。
これに対し、松沢成文知事は「県民の間で受動喫煙についての理解が進んでいないなか現実的で、受動喫煙防止を一歩進められる」と説明している。
全面禁煙をどこまで拡大するかは、今後の課題だ。条例を施行した後も、県民の意見を聞きながら検討を進めてほしい。他の自治体の参考にもなるだろう。
骨子案によると、すでに喫煙規制が進んでいる学校や病院、官公庁、金融機関、百貨店、劇場、博物館などを第1種施設として全面禁煙を義務付け、レストラン、ホテル、ゲームセンターなどは第2種施設として禁煙か分煙を施設側が選択できる。
この第2種施設のうち、たばこを吸う客の多いキャバレー、パチンコ店、マージャン店などは、条例の施行後3年の猶予期間を経てから禁煙か分煙にすることを義務付けた。
こうした対策を徹底するため、(1)施設の入り口に禁煙か分煙を表示する(2)分煙にした際に喫煙スペースへの未成年者の立ち入りを禁止する(3)違反者には罰則として過料を科す-が定められている。
喫煙率は平成18年の厚生労働省の調査で23・8%と減少してきているものの、1年間に11万4000人が、喫煙が原因とみられる疾病(心臓病、脳血管障害、呼吸器疾患、がん)で死亡している。
15年に健康増進法が施行され、17年にはたばこ規制枠組み条約が発効した。ともに受動喫煙対策を求めている。たばこの被害をなくすために、たゆまない努力が必要である。
(産経新聞 2008年9月21日)

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