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プロポリスは貴重な資源
ミツバチの巣箱からプロポリスの原塊を採集するには、プロポリスのもつ低温で固まりやすいという性質を利用して、気温の低い日に巣枠や壁から直接削り落とす方法と、巣箱内部の天井部分にプラスチック、あるいはステンレスの網戸などを設置しておいて、ハチが網目に充てんしたものを集める方法とがあります。
採取量は、さまざまな条件や巣箱の構造などによって大きく異なりますが、一つの巣箱から年間約100~300g程度といわれています。
プロポリスは、かぎりある非常に貴重な資源なのです。
プロポリスの原料採取と調整は、比較的老齢の一群のはたらきバチ、いわばエキスパートによって行われているそうです。プロポリスをよく集めるのは西洋ミツバチです。少しベタベタした、ある種の樹皮がその原材料となります。そして草原地帯よりも森林地帯のほうが、よく採取できます。
この貴重な資源を人間が利用しているのですから、大切に大切に活用していきたいものです。
プロポリスに守られて生活するミツバチ
ミツバチの生活は、プロポリスに守られる形で維持されています。
プロポリスの役目は、まず、巣の補修です。
ハチの巣は小さな六角形の巣房が集まってできています。
巣房のなかでは幼虫が育てられたり、大事な食料であるミツや花粉が貯蔵されています。
また、中心には、女王蜂も住んでいます。この巣を雨や風などの自然災害から守り、快適な状態に整えておかなければなりません。
そのために、巣房にできた隙間や穴はプロポリスによって埋められ、補強されるのです。
同時に、バクテリアや害虫などから巣を守る役目も果たしています。巣の中は、補強やコーティングのために使われているプロポリスの揮発性成分でいつも満たされています。
この揮発成分は、バクテリアなどの病原菌が繁殖しないように巣の中をたもっています。ミツバチの巣からもミツバチからも、病原菌や細菌がほとんど発見されなかったという報告があるほどです。
プロポリスは、「前」を意味するプロと、「都市」を意味するポリスというギリシャ語でできています。「前衛」という言葉がありますが、まさに都市である巣を最前線で防衛するものとして、プロポリスは存在しているのです。
プロポリスは完璧な自然防御装置 ??
いつも忙しく飛び回っているミツバチの生活を考えてみましょう。
蜜を集めてきた働き蜂は当然、外界のほこりやバクテリアやウイルスなどを体につけて帰ってくるはずです。
そして巣にたくさんある小さな穴を出入りしているので、ふつうだったら巣の中は汚れてしまうはずですね。
ところが、そうではありません。どうしてでしょうか?
じつは、無数にあるその小さな出入り口の内側の壁にも、プロポリスがべっとりと塗り込まれています。
働き蜂たちは、その壁に自分の体をこすりつけながら入っていきます。
こうして、大昔から蜂の巣は滅菌室を保ってきたのですが、その大役を務めていたのがプロポリスだったのです。
ときには巣内に迷い込んだ昆虫などの死骸で、巣外に運び出せない大きなものは、すっかりプロポリスで包み込まれて、完全にミイラ化され、巣内の汚染が防がれています。
バイオリンの名器ストラディバリウスのニスにプロポリスが混ぜられているというのも同じ目的でしょう。
蜂の巣の構造
プロポリスをつくっているのはミツバチですね。
蜂の巣の構造はどうなっているのでしょう。
自然の状態では、ミツバチの巣は巣板と呼ばれる鉛直方向に伸びる平面状の構造のみからなっています。
ミツバチが利用した空間の形状によっては巣板が傾いていることもあります。
巣板の数はミツバチの種によって異なり、養蜂に用いるニホンミツバチやセイヨウミツバチは複数枚の巣板を形成し、自然の状態でも10枚以上にのぼることがあります。
コミツバチなどは巣板を一枚しか作らないため、養蜂には向きません。
ミツバチは巣板を防御する構造物を自ら作り出すことはせず、家屋の隙間や床下、木のウロなどもともと存在する外壁を利用します。都市部では巣板がむき出しになった巣も存在するようです。
巣板は中があいた六角柱が平面状に数千個接続した構造で、このような構造をハニカム構造(honeycomb、蜂の巣の意)と呼びます。
強度に優れていて、材料が最少で済むという特徴があります。
六角柱は厚さ約0.1mmの壁でできていて、奥行きは10~15mmあります。六角柱の底の部分は三角錐になっています。
巣板の材料はミツバチの腹部にある蝋腺から分泌された蜜蝋(ミツロウ)です。
幼虫を育てるために使用する穴の奥行きは10~15mmですが、蜜を貯蔵するために使用する穴の奥行きはバラツキが大きく20mm程度に成る場合もあります。
清潔好きなミツバチ...
人間がいくらがんばっても、ミツバチの清潔さにはかなわないようです。
他の昆虫が雑菌や微生物まみれであるのに対して、ミツバチの体からは、雑菌や微生物がほとんど発見されないのです。
これは、プロポリスによるすぐれた働きのためです。
狭い巣のなかで2万~5万匹の大群が超密集状態で共同生活をおくっているミツバチですが、プロポリスによって巣の中はつねに無菌に近い清潔な状態に保たれており、ミツバチの体自体も清潔なのです。
このプロポリスのすばらしい働きは古くから知られていて、利用されてきました。古代エジプトやインカ帝国でも使われていました。
プロポリスの菌にたいする働きのうち、黄色ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌などに対しては、抗生物質のペニシリンやテトラサイクリンなどよりも強い働きを有しているそうです。
薬事法の関係で、くわしい資料はのせられませんでした。
ミツバチとあなた...さて、どちらが清潔好きでしょうか。
プロポリスをつくっているミツバチは?
ミツバチの種の数は世界でわずかに9種です。
・ セイヨウミツバチ
・ トウヨウミツバチ (ニホンミツバチはトウヨウミツバチの亜種)
・ サバミツバチ
・ キナバルヤマミツバチ
・ クロオビミツバチ
・ オオミツバチ
・ ヒマラヤオオミツバチ
・ コミツバチ
・ クロコミツバチ
プロポリスを集めてきたり、つくったりしているのは、メスの働き蜂です。
ハチはアリと同様に、古くから人間にとって身近な存在であり、一般にハチと呼ばれる昆虫のなかでもミツバチは、"養蜂" "養蚕" という言葉からもわかるように、カイコと並んで人間の暮らしのなかでも重要なウェイトを占めてきました。
現在発見されている最古のミツバチ属の化石が、今から約3500万年前と推定されています。そしてその形態と社会性が進化して人間に匹敵する社会システムを完成させたのが、約3000万年前であろうと考えられています。
その後、ミツバチがほとんど進化らしい進化を遂げずに環境に適応し続けてきたのは、それだけ優れた種であることと、プロポリスによってミツバチが保護されてきたことによるものです。
ブラジルでは時を経て、ヨーロッパ種と交配した新生アフリカバチは、ハチミツの採集能力に非常にすぐれており、プロポリスを作る能力にもたけていることがわかったのです。そこで養蜂業がさかんになりました。
プロポリスは、ミツバチが集めてくる植物の樹脂が構成物質ですから、ハチミツが花の種類によって味や色、香りが違ってくるように、その性質は、ミツバチがどのような環境にいるかによって左右されると考えられます。
プロポリスがとれる環境はとっても大事なのです。
プロポリス採集の時期は?
働き蜂には巣の外で働く外役蜂と中で働く内役蜂がいて、外役蜂が集めてきたねばねばしたプロポリスを内役蜂が取り外してやるというふうに、役割が決まっています。
また、ミツバチの種類によって大量にプロポリスを集めるものと、あまり熱心に集めないものとがあって、ニホンミツバチなどはほとんど運ばないといわれます。
採集の時期については、「春にも行われるが、頻度からいえばコロニー(同じ巣のなかで生活している同種の個体の集団)が冬の準備を始める頃の、秋に近い流蜜期の終わり頃」だということです。
花の蜜を集めやすい流蜜期はプロポリスが少なくなるからです。
また、気温が低くても固くて採集できないため、温度が20度C以上のときで、一日のうちでも気温の最も高い午前10時~午後3時半頃に集中するということです。
地域的には、平原地帯より森林地帯にある巣のほうが、よく採集されているそうです。
ミツバチの巣を守るプロポリス
ミツバチがプロポリスを作る用途は大きく分けて巣の補強および消毒・殺菌に使われていると考えられていて、次のような観察結果が報告されています。
・ 巣箱の入り口や割れ目、穴をふさぐ。
・ 巣の内壁または外壁として利用する。
・ アリなどの外敵の侵入を防ぐ。
・ 巣の中で死んだ侵入者を外へ運び出すことができない場合、死骸をプロポリスでコーティングする。
ミツバチは、巣の中で球状に重なり合って、四季を通じて球の中心温度を育児温度の35度に保ちながら生活しているので、菌が繁殖しやすい環境にあります。
そのため排泄などは巣内で行わず、常に無菌状態になっています。
そこへ昆虫や小動物が入り込んだ場合には、殺したあと死骸が腐敗するのを防止するためにプロポリスで包み込んでしまいのだろうといわれています。
蜜ろう と プロポリス
ミツバチの巣は蜜ろうでできています。
蜜ろうとプロポリスは外見がよく似ているため間違えやすいのですが、蜜ろうはミツバチの腹部にあるロウ腺から分泌されるもので、プロポリスはミツバチが植物から集めた樹脂に自らの分泌液を混ぜ合わせて作るものです。
ミツバチが樹木のねばねばしたものを集めるときは、かじり取ったあと中脚の花粉ブラシに丸めて押しつけ、後ろ脚の外側にあるくぼみ(花粉バスケット)に詰め込んで持ち帰るそうです。
ミツバチの後ろ脚がそのような構造になっているなんて、ハチの専門家でなければなかなか知らないようなことです。
ミツバチが物を運ぶときは何となく口にくわえたり前脚で持っているのではないかという印象がありますが、ミツバチは毎日花粉やプロポリスを巣に運ばなくてはならず、その作業に都合の良いような体のつくりになっているわけです。
私たちが買い物に出かけて両手いっぱいに買い物袋を提げて帰ってくるというようなことを、ミツバチは毎日繰り返しているのです。
買い物係となるのはメスのミツバチですが、ミツバチの種類によって大量にプロポリスを集めるものと、あまり熱心に集めないものとがあって、二ホンミツバチなどは、ほとんど運ばないといわれます。
プロポリスはメス蜂によってつくられる...?
ミツバチの場合、同じ巣のなかで生活している同種の個体の集団は、「コロニー」ともよばれ、強力な結束性をもっていて、たとえ同種であっても他の巣の個体の侵入を許しません。
女王蜂は交尾・産卵の他に蜜胃という場所から蜜を出して働き蜂に餌として与えるなどします。
オスの蜂は餌をねだったりもらったりする以外は、毎日交尾するために外に飛び出して女王蜂が飛来するのを待ちます。
もっとも行動パターンが複雑なのが働き蜂(すべてメス蜂)で、"ミツバチのダンス"やさまざまな巣管理行動を行います。たとえば巣の中の掃除、女王蜂が産卵するための王台の形成、育児、蜜・花粉・プロポリスの処理、見張り、外敵への攻撃、蜜・花粉・プロポリス・水の収集などは、すべて働き蜂によってなされています。
最大の特徴は、産卵とそれ以外の仕事を、どちらもメスである女王と働き蜂が分担しあっていることだといいます。
オスは繁殖期だけ現れ、巣の仕事にはいっさいタッチしないのです。
したがってプロポリスを集めてきたり、つくったりしているのは、メスの働き蜂なのです。
